相次ぐ、派遣切りのニュース。
私が直面しているのは解雇のような突発的な事態ではなく、仕事がだんだん減っていくといった、じりじりしたものなので、自分がこうなるかもという感覚とはちょっと違う。それでも、恐怖はある。たぶん、かなり安定した職についている人であっても、恐怖を感じるのであろう。
だからだろうか、ヒステリックな拒否感みたいなものをときどき感じる。
経済が悪化して多くの人が職を失い、家まで失っているという事態に対し、「この人たちはまじめに働こうとしている」「いや、努力していなかったからこうなったのだ」といった、個人の仕事に対する真面目さや努力の問題として語られるのを聞くと、私は冷や冷やする。
なぜかというと、私が怠け者で、明らかに仕事に対する情熱に欠けているからだ。
私が路頭に迷うことになったら、たぶん誰も同情してくれないだろう。
ポール・ラファルグ『怠ける権利』
80年近く前に書かれた本で、「働く権利」ではなく、「働かない権利」「怠ける権利」「1日最長3時間労働」を主張している。皮肉や逆説たっぷりで、当時のさまざまな文脈を読み解かなければならないので、結構面倒だが、面白い。
労働意欲というやつは、高まれば高まるほど賃金の全体的な低下を招く、という性質ももっている。
もちろん、私ひとりが怠けた場合、私の賃金は低くなる。
ぜひ、みなさんにも怠けてほしい。
とはいえ、私にも他人のために役立つことをしたいとか、人に認められたいという欲求がないわけではない。
人間にとって怠けと労働をめぐる関係は、とても複雑なのである(と偉そうに)。
このことを非常にわかりやすく描いた名著も、ついでに紹介しておこう。
トム・ルッツ『働かない―「怠けもの」と呼ばれた人たち』
長い本だが、細部も非常に面白いです。
0 件のコメント:
コメントを投稿