2008年11月23日

ファロリート

Farolitoを録音してみた。
ジョアン・ジルベルトの「エン・メヒコ」というアルバムに収録されている。メキシコの歌らしい。
大好きなアルバムなのだが、「不遇の時代」とか表現されるメキシコ滞在がジョアン・ジルベルトにとってどいう意味をもっているのかは、さっぱり分からない。

2008年11月15日

暇とサウダージ、風邪

景気が悪いと仕事が少ないのは、まあ仕方ないとして、自分の心が少しずつ荒んでくるのを感じる。こういうときこそ、人には優しくし、そして美しいものをつくりたいと思うのだが、そういう邪念がすでに景況感の悪化を示しているのかもしれない。
そして、こうも暇が続くと悪い考えやら風邪やら、いろいろやってくる。
サウダージもやってくる。

『ぼくのサウダージ』
サウダージとは何か、とは説明しにくいのだが、この曲はちょうどぴったりかもしれない。
失われたものへの執着とか欲望が消えた後に残る「何か」なんだろうか。

以下は、読書メモ。

佐藤優『自壊する帝国』『国家の罠』
今まで読んでなかったのだが、ふと文庫を手にとったら面白そうだったので。
特に前者のほうで、ロシアでウォッカを飲みまくりつつ、神学や政治の話をするところなんかが非常に面白い。
これを読んで、昔、私もチェコに行きたいと思って外務省の試験(アルバイトみたいなやつ)に落ちたことを思い出した。

関口義人『ジプシー・ミュージックの真実』
真実とはまた大きくでたなという感じもするが(内容もちょっとそんな感じ)、ディスクガイドなどはとても訳に立つ。

岩波明『狂気の偽装』
心の病という一種のブームを批判しつつ、医療に携わる者としての実感から現場の報告をするという感じ。
中身は、やや中途半端な気もする。

ジャンニ・ロダーリ『二度生きたランベルト』
特にコメントなし。

岩井克人・佐藤孝弘『M&A国富論』
優れた政策提言の書。

2008年11月5日

じょうずはこわい



福岡伸一「できそこないの男たち」
タイトルで嫌な予感はあったのだが、前著に感心したので買ってみた。
感想は「上手な文章って危険だな」というもの。
(上手な演奏にも似たところはあるだろうが、文章ほど危険ではないかもしれない。)
最後のほう、男という存在についてあれこれ想像をめぐらせるあたりは、飲み屋の与太話なのだが、彼が書くと結構サマになってしまう。
男系による皇位継承の話に、チンギスハーン由来のY染色体が今も旧帝国の版図で8%も見られるという話が続くのは、ちょっと面白い。



逆に、文章がちょっとたどたどしいけど、そこがまさに主張と一致していて感心したのが、
後藤和智「おまえが若者を語るな!」。
私もオッサンになってきたので、「世代論」や「若者論」の大好きな人と飲み屋へ行ったりするようになった。違和感はありつつも、まあテキトーに流してきたわけだ。救いというか、より悲惨なのは、若者への批判は大抵私に対しても当てはまるので(笑)、私がヘンに若者を擁護することになってしまうことだ。
まあ、そんなこんなを考えると、「世代論」はなるべくしないほうがいいと私も思う。それが宿命論的な意味合いをもってしまうというのも、著者の言う通りだろう。とりわけそれを芸として利用してきた宮台真司やら香山リカへの痛烈な批判はもっともである。
そして、著者自身にいまいち「芸」がないところも、ある意味、この本の正しさを補完しているわけだ。