2010年11月28日

雨、大糸線、そして小田急線

祖師谷大蔵のムリウイでライブは、もう何年ぶりかの2度目だった。
確か、あのときはいつもライブをさせていただいていたお店がなくなってしまい、友人に教えていただいた情報をもとに自分で売り込みにいったのだった。
ここへ来ると、素晴らしい空間とお店がもつ温かい雰囲気にいつも感激する。夏がいいと思ったけど、冬もいいです。
heliさんの意欲的な企画に誘っていただき、深く感謝。そしてパーカッションのビリンバカ前田さんも素晴らしいサポートをしてくださった。
私も前田さんも細かいミスはたくさんあったが、全体によいユニットなんじゃないかとひそかに思っている。私のなかでのユニット名は「チキン・ビリ・アット」。もちろん、インド料理のあれ。

さて、今回はいつもよりちゃんと準備したので、曲順のメモも手元にある(いつもはかなりいい加減にその場で決めたりもする)。

1イパネマの娘 2クリスマスのプレゼント 3ロボ・ボボ 4メタフォラ(暗喩)(ジルベルト・ジル)
(前田さん登場)
5カンタ・ブラジル~ブラジルの水彩画 6田舎の列車(ヴィラ・ロボス) 7サムライ(ジャヴァン) 8プレコンセイト 9ばくてりやの世界(オリジナル) 10カンデイアス(エドゥ・ロボ) 11トローリー・ソング 12豆事情(オリジナル)

いわゆるボサノヴァは少ない。なんとなく、今回はそのほうがいいような気がしたのだ。以下はビリンバカ前田さん提供の映像。どれも前田さんのパーカッションがいい雰囲気をつくっている。
後半のheliさんが演奏しているあいだに雨が強くなった。少し寂しくも温かいあの晩の空気は何やら特別なものだった。(heliさんの演奏はこちらで!

カンタ・ブラジル~ブラジルの水彩画


田舎の列車(大糸線、小田急線ヴァージョン) 最初キーを間違えていて、恥ずかしい。鉄道好き、小田急線ファンのあの人に捧げる。


ばくてりやの世界(萩原朔太郎=詩) 前田さんが暴れていて面白い。 

2010年11月19日

「好き」と「嫌い」の間

私はとにかくボサノヴァが好きで好きでたまらないんだろう、と思っている人もいるかもしれないが、そういうわけでもない。むしろ、一般人よりボサノヴァが嫌いともいえるかもしれないのだ。
それはともかく、有名なボサノヴァ曲のなかには、苦手だなーという曲がいくつかある。
「Samba de Veraoサマー・サンバ」は、そのなかのひとつだ。
http://ott.sakura.ne.jp/ottnet/songs/verao.mp3
お聞きの通り、翻訳もどこか斜めな感じにならざるをえない。
ついでにいうと、この曲をつくったマルコス・ヴァーリという人もなんとなく苦手だ。私はリオの小さな店でこの人のライブを見たのだが、あまり「いいね」な感じがしなかった。とはいえ、こういう「嫌い」はすべて「好き」の裏返しではあるのだろう。
マルコス・ヴァーリの悪口をこんなに真剣に言ったり、やや悪意のある翻訳をしたりする人間は、ボサノヴァ好き以外ではあまり考えられない(笑)。

♪サマー・サンバ
私いいのそれでいいの
愛は何も求めないの
いつもそばにいてくれたら
それでいいの 今はいいの
ほら 夏がくる
熱くなる あなたとすごす夏待ちきれない

夏はいいね すごくいいね
冬もいいね 逆にいいね
海はいいよ 山もいいよ
それはいいね とてもいいよ
ソーナイス! いいんじゃない?
どれもこれもすごい いいんじゃない?

反知的独占



いろいろ書くと墓穴を掘りそうなので、とりあえずお勧めするだけにします。
特許や著作権に違和感を感じている人だけでなく、イノベーションや創作について真剣に考え、経済的に、そして倫理的にも望ましいあり方を求める人にとって必読の書だと思う。
とはいえ、文章は難しくはないけどなんとなく読みにくく、必ずしも通読する必要はない種類の本だと思うので、図書館などで借りるのもいいかもしれない。

2010年11月15日

人望あるボッサ野郎とは……

11/25(水)のムリウイでのライブ、ご一緒させていただくビリンバカ前田氏がこんなマンガを描いていたので、さっそく転載を依頼した。よく見ると右端が告知になっていて、ご自身のユニット(たぶんBossaギャルも登場?)も満を持してライブを行うらしい。私としても、負けずに鼻を大きくして歌おうかと思うが、私見ではジルの特徴は「鼻の穴」ではなく、「鼻の下」にあるのではないだろうか。


何より愉快なライブ告知法を見習いたいが、私にはこの方面の才能がない。実は昔、よくマンガを描いていたのだが、どれも恐ろしくつまらなかったのである。
そんなわけで、以下は今後の予定です……。

★Live at 祖師谷大蔵ムリウイ
2010/11/25(木) 19:00~
出演: heli(vo. g)、ビリンバカ前田(perc)+OTT(vo. g)
Charge 投げ銭
場所:
 Cafe Muriwui (世田谷区祖師谷4-1-22-3F)
素晴らしいロケーションで大好きなムリウイは、すごく久しぶりです。ご一緒させていただくのは、ボサノヴァ弾き語りのheliさん。今回は「日本語とボサノヴァ」がテーマらしいです。パーカッションの前田さんも、きっと気持ちのいいどこかへ連れていってくれます!

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★Live at 二子玉川バーライラ
2010/12/12(日) 19:00open 20:00~
出演: タケシィ(唄、三線)、柳家小春(江戸小唄、三味線)、OTT(唄、g)
Charge 席料1000円+2オーダー+投げ銭
場所: Bar Lialeh (世田谷区玉川3-15-12)
沖縄vs江戸vsブラジルということなのか、単に弾語り3人揃えただけなのか、尊敬する柳家小春師匠、そしてタケシィは初めてお目にかかります。お店にはミッフィーもたくさんいてなごめます。

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★そっと新年会@大塚エスペト・ブラジル
2011/1/8(土) 19:00open 19:30~
出演: ramuchi2000GT(vo. g)+OTT(vo. g)+ゲスト
Charge 1000円+オーダー
場所:
 Espeto Brasil (豊島区南大塚3-29-5光生ビルB1)
ライブは前半1時間、あとはたっぷり「飛び入りタイム」を設定します。新しい年を迎えてステージでちょっと歌ってみたい、演奏してみたいという方も気軽に遊びにいらしてください。もちろん、ブラジル料理屋さんならではの飲み物や食べ物も楽しめます。

2010年11月11日

四葉のはなし

「四葉」というかわいい曲を好んで歌っているが、私がはじめて聞いたのは例によってジョアン・ジルベルトの「伝説」というCDである。
どうやら、アメリカの曲らしいと聞いたので、いくつかの英語ヴァージョンを聴いてみた。



これがもっとも有名なヴァージョンらしい(1948年、Art Mooney & His Orchestra)。
ところで、それとは別に最近、ある方に聴かせてもらったのが「ジョアンとは別のポルトガル語版四葉」であった。
やはりYou Tubeにあるというので調べてみると、なんとノエル・ホーザによる替え歌と書いてある。



それなら、もしかして家にもCDあるんじゃないかと思ったら、やっぱりありました(14枚組、まだ全部聞いてなかった……)。
Belo Horizonte 歌っているのはCarlos Didier、1935年だって。
歌詞はなんというか、ジョアンのはちゃんと四葉のクローバーだけど、こちらはちょっとした「戯れ歌」みたいな感じ。でも結構、味がある。

改めてI'm Looking Over a Four Leaf Cloverについてウィキペディアで調べてみると、作曲は1927年だというから、ちょっと驚きだ。1948年に大ヒットする前にノエル・ホーザはもう替え歌作ってたわけだ。
分からないのは、ジョアン・ジルベルトが歌っている歌詞でもっと古い録音はあるのかということ。
あと、戦前のアメリカ録音もぜひ聴いてみたいものである。
というわけで、みなさん四葉について情報提供よろしくお願いいたします!

↓我が家の家宝ノエル・ホーザのボックス・セット。

2010年11月10日

テルミー

テルミー
なぜ この胸は こうさびしい
なぜ 君と逢う その日だけ楽しい
なぜ 別れ路に 出る吐息が
君の答えおば なやむ身に与えよ


これは、先日の二子玉川ライラでのライブ、対バンの2525稼業さんチャーリー高橋さん岡野勇仁
さん
が演奏したたくさんの素敵な曲のうちのひとつ。私も、結構この辺はCDなどで好んで聴いているのでとても嬉しかった。
改めて歌詞を眺めてみると、ボサノヴァ日本語化計画と非常に近い直訳的世界だということが分かる。古いジャズ時代にはあったこういう感覚が、今はどちらかというと珍しいものになっているわけだ。拙いかもしれないけど、ストレートに伝わる。あまり恰好つけすぎない。そして、歌はみんなのものという前提のようなもの……。
そんなわけで、日本という場所から世界中の音楽を眺める独特の在り方も含め、チャーリーさんたちの試みは、とても共感できるものだった。

2010年11月1日

おっぱいとトラクター、そして誤訳について



ひさびさに本を読みながら涙がでてきた。理由はよくわからないが、よい小説だと思う。もしかしたらそのときお酒を飲んでたとか、ベタベタのメキシカン・ボレロを聴いてたとか、そういう理由も少しはあるかもしれない。

本を読み始めてしばらくは、実は誤訳のほうが気になって、「こりゃ、せっかくの本も翻訳がなあ」なんて意地悪なことを考えていた。
ウクライナの話なのに、ウクライナ国旗が空の青とトウモロコシの黄色なんて書いてある。コーンというのは穀物全般だから、この場合はどう考えても麦だろう。あまりに初歩的かつ目立つ誤訳なので、きっと訳者もあちゃーと苦笑しているに違いない。
でも、読み進めていくうちに、そんなことはどうでもよくなってきた。小説だけでなく、その翻訳も勢いがあってすごくいいのだ。

誰にも避けることのできない間違いいうものと付き合うには、2つの方法ある。
ひとつはもちろん、なるべく気をつけて慎重になること。もうひとつは、間違いを積極的に味方につけてしまうというもの。前者の欠点は、細かい点を考慮すればするほど、間違えたり、間違えに気づいたりする可能性はさらに高まるということ。そして、間違えの少ないものというのは、なんでも結構つまらないものだ。
冗談ではなくて、トウモロコシの黄色には詩的な真実があるかもしれない。そういうことは、人生のなかですごく多い気がする。
なんか自己弁護っぽくなってきたのでこの辺でやめておこう。

11月のライブ

11月は珍しくライブがいくつか予定されております。
みなさま、ぜひ気軽に遊びにいらしてくださいませ~。

★鷹の台Bossa?
2010/11/3(水・祝) 18:00~
出演: OTT
Charge 投げ銭
場所: すうぷ屋Hygge (小平市たかの台43-10)
◆10月~11月にかけてこの周辺でたくさんのボサノヴァライブが行われるようです。私が演奏させていただくこの日この場所でも、前後には別のアーティストの方が登場されます。

★静かな夜@平井Time After Time
2010/11/4(木) 20:00頃~
出演:ramuchi2000GT(鼻歌のボサノバ)、OTT(日本語ボサノバ)
Charge 投げ銭
場所: Time After Time (江戸川区平井5-16-6)
◆ramuchi2000GTさんプレゼンツの「平井の夜」シリーズは毎回いい感じです。お店はギネスも飲める素敵な居心地のよいバー。ramuchi2000GTさんの男気溢れる鼻歌スキャットボッサ未体験な方もぜひ。

★Live at 二子玉川バーライラ 

2010/11/8(月) 19:00open 20:00~
出演:2525稼業&チャーリー高橋&岡野勇仁 、OTT
Charge 席料500円とオーダーをステージ毎 出演者に投げ銭
場所: Bar Lialeh (世田谷区玉川3-15-12)
◆「初代ピアノ屋」こと岡野さんにお誘いいただきました2組の対バンです(といっても、私は一人さみしく「バン」)。2525稼業さんの「端唄、アジア民謡などアコースティック系日本語ポップス」にも興味津津。お店もはじめてですが、とてもいいところらしいですよ~。

★Live at 祖師谷大蔵ムリウイ

2010/11/25(木) 19:00~
出演: heli(vo. g)、ビリンバカ前田(perc)+OTT(vo. g)
Charge 投げ銭
場所: Cafe Muriwui (世田谷区祖師谷4-1-22-3F)
◆素晴らしいロケーションで大好きなムリウイは、すごく久しぶりです。ご一緒させていただくのは、ボサノヴァ弾き語りのheliさん。今回は「日本語とボサノヴァ」がテーマらしいです。パーカッションの前田さんも、きっと気持ちのいいどこかへ連れていってくれます!