2008年10月14日

ジプシーとアンパンマン

「だあしゑんか」という店ではブラジル音楽がよくかかる、というのは予測された事態であろう。
ハンバーガー屋でインド音楽がかかっていたら面食らうかもしれないが、
居酒屋でボサノヴァがかかっていても、もはや誰も驚かないのである。

古いサンバやカリブの音楽などが半分くらいを占める一方、東欧の音楽も少しかかる。
チェコ音楽はわずかで、ハンガリーやバルカン半島のものが多い。
このあたりの音楽を聴いていると、トルコやアラブまで地続きであることを感じる。
ヨーロッパとアジアは完全につながっているのである。

アンガス・フレーザー『ジプシー 民族の歴史と文化』。
ジプシーやロマ、ロムなどと呼ばれる多様な人々の歴史を概観するにはもってこいの本だと思う。
個人的には、「ジプシーには共通の音楽言語は存在しない」「創造者としてよりも継承者あるいは編曲者として、まわりの社会に特徴的な音楽をとりあげた」といった音楽関係の記述にとりわけ興味をもった。
また、婚姻習慣や移動生活といったことよりも「タブー」「穢れ」の概念がジプシー文化のなかでもっとも普遍的に見られる特徴であるとの指摘。
これがなかったら、たぶん彼らはあれほど過酷な歴史のなかで独自性を保つことはなかったんじゃないだろうか。
適切とは言えないかもしれないが、たとえば、ブラジルの日系人や在日の人々なんかと比較してみると面白いかもしれない。
文化を生き長らえさせる原動力は、どうやら愛国心とか民族的誇り、教育とは限らないようだ。



もう一冊、全然関係はないが、
やなせたかし『アンパンマンの遺書』。
私はアンパンマンにはまったく馴染みがない。
しかし、なんということはなしに読み始めたら、これが実に面白かった。
名文というか、とても味わいのある自叙伝。
お勧めです。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

だあしゑんかの、すぐ隣に、アンパンマンの店がありますよね。
何か、ご縁があるのではないでしょうか。

私は、カレーパンマンが、妙に気に入っています。
ロールパンナちゃんの、暗いキャラにも、惹かれるものがあります。

匿名 さんのコメント...

そうそう、先生ご本人も近所に住んでるらしいです。
すれ違ったら、分かるかなあ?
でも私はアンパンマンについては、恥ずかしながら何も知らないのです。