2010年12月20日

伝統、あるいは元本保証

突然変異はランダムに起きるし、生命は否が応にも変わっていく。
そして生命の巧妙さは気の遠くなるような時間によって生まれた奇跡だ……。
そう教えられてきたような気がするが、なんとなく変だなとは思っていた。
「神の手」とまではいかないまでも、自然はもうちょっとだけ「意識的」であり、「方向性」や「傾向」のようなものが少しはあると感じられた。

進化のメカニズムなんてどうでもよいことではあるだろうが、気になるのは、やはりそれが文化や社会のメタファーとしてかなり力をもっているからだろう。
たとえば私はスポーツニュースなどで多用される「進化」という言葉がどうも好きになれないのだが、それにもたぶん理由がある。
私たちは日々喩えや擬人化の世界を生きているわけだ。

「元本保証された多様性の創出」を基本とする「不均衡進化論」は、まだ主流の理論としては認められていないのかもしれないが、非常にシンプルで妙に腑に落ちるところがあった。
生物学的な説明は私には難しいので、あくまでも文化的に譬えると、かなり身も蓋もない話となる。
伝統はちゃんと守りながら、新しい試みはどんどんやっていく、いわばメリハリをつけるという、ごく当たり前の話。
常に変わり続けるばかりが能ではないというのがポイントだろうが、どこかに伝統をしっかり守っておけば、あとは失敗してもいいからどんどんチャレンジしようね、という部分を強調することもできる。あるいは、変化は常に一定の速度で起きるというより、起きるときにまとめて起きるというというところも重要だろう。
それはともかく、私のような無駄の多い変異のほうにばかり心惹かれ、どちらかというとリスクの高い投資を好むタイプでも、誰かがどこかで「元本保証」をしていると思うと、心安らかに好き勝手をしていいよと言われたような安心感があるのだ(笑)。

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