2010年1月7日

タクアベ

新年早々、目の前に仕事がなくなってしまったので、ちょっと部屋を片づけたり、途中で止まっていた本を再び読み始めたり。

以下は、ウルグアイ最後のインディオ(チャルア人)がパリの自然科学アカデミーに送られたというエピソードの一部。

タクアベは楽人の才であった。博物館の観客が立ち去ると、音楽を奏でていた。唾で湿した細い棒きれで弓をこすり、馬のたてがみの弦をかき鳴らし、甘くふるえる調べを響かせたものだ。カーテンの陰で彼の様子を窺ったフランス人たちによれば、彼が生み出すのは実に静かな、抑えた音色、聞き取れるか取れないかの内緒話にも似た響きだという。
(エドゥアルド・ガレアーノ『火の記憶2』より)

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