2010年7月8日

酔っ払いと綱渡り芸人

チャップリンの「スマイル」にインスパイアされてジョアン・ボスコがつくったとか、ブラジル軍政下の圧制をエリス・レジーナが劇的にうたったとかで、わりと有名な曲だ。

ジョアン・ボスコ「酔っ払いと綱渡り芸人」
http://ott.sakura.ne.jp/ottnet/songs/bebado.mp3


街の灯(あかり)消え 喪服の
赤ら顔のあいつ まるでチャップリン?
いつも千鳥足で踊る 星たちの光も 飲み尽くして
雲よ 赤い血に飢えた 人々の痛みは 足りぬか?
まだ苦しみは続くの? 酔っぱらいは踊る
夜明けは来ない meu Brasil

遠く離れたどこかに
あなたは連れられ 愛する人よ
きっと戻ってくるよと 気高き母たちは涙ふいて
心 突き刺す痛みは どこかへ導くの? 希望は
目の くらむような高みに 架けた綱の上を 歩いてゆく
今 綱渡り芸人は 命がけで歩く 前を向いて


かなり忠実に訳したつもりだが、それでもこの比喩的な表現には若干の説明が必要だろう。
酔っ払いは当時のブラジルを牛耳っていた軍部、綱渡り芸人はそんな社会で危なっかしく生きている国民を表現しているようだ。
そして、どうしても訳せなかった単語もある。
「拷問」は、うまく歌にすることができなかった。
でも、「どこかに連れられた」人々は拷問を受けて血を流し、それを雲が吸い取ってる、というような禍々しいイメージなのだから、これは不誠実な訳かもしれない。
私の力不足の問題か、日本語の響きの問題か、あるいは他の問題か。
なんにせよ、ちょっと悔しい。

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