2011年6月7日

科学あれこれ

ジェニファー アッカーマン『かぜの科学―もっとも身近な病の生態』
ウイルスによる風邪は、冷えることが原因とはなりえないというのが、いまだにぴんとこない……。
ここで否定されている風邪の治療や予防のあれこれを読んでいると、いろいろな思い込みというのは、死んでも治らないというか、科学的に考えるなんて私には無理だとも思えてくる。

アンドリュー・キンブレル『すばらしい人間部品産業』
そして、科学の進歩というよりも、この社会で当たり前とされている哲学のほうが問題というのが、たぶんこの本の立場。
私もまあそうかもとは思うが、この本はちょっと読むのがしんどかった。
もう少し多面的に書かれていれば、説得力も増しただろう。

シーナ・アイエンガー『選択の科学』
3冊のなかで一番はこれ。ただし、原書のタイトルはThe Art of Choosing、サイエンスじゃなくてアート(技)としての選択。まあ、日本で売るには妥当なよいタイトルだとは思う。
たとえば、スーパーで品揃えを豊富にすると売り上げが下がるという話は、私のようにサブウェイ的な「オプション」にうんざりしているタイプにはピンとくる。
ちょっと前に流行った(?)行動経済学の話に近いが、この著者にはそれとちょっと違うしゃんと背筋の伸びた誇りのようなものを感じる。
選択というものの不思議さ、尊さ、神秘をそのまま受け入れている感じがするのだ。
そういうとき、科学というのはそのまま芸術にもなりうるのかもしれない。
私たちは無限に枝分かれした選択の森を生きているように感じることがあるが、そんなとき、ふと紐解いてみることをおすすめする。

以下、ちょこっと引用。
選択は、最良の状態では、主導権を取り上げようとする人々や体制に抵抗する手段となる。だが選択の自由がだれにでも平等に開かれているという建前がふりかざされるとき、選択そのものが抑圧になる。選択は、性別や階級、人種差などから生じる不平等を無視する口実になる。

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