書かなければならない本がもう一冊。
フィリップ・プティ『マン・オンワイヤー』
フランス出身の綱渡り師が、今はなきニューヨークのツインタワー、世界貿易センタービルにワイヤーをかけ綱渡りしたときの記録だ。もちろん無許可。無謀な計画を実行に移していく様子は、まさにテロリストである。そして、その結果の美しさがあの事件とみごとな対照をなしていて恐ろしい。
フィリップ・プティについてウィキペディア(英語版)の説明
この人に興味をもったのはずいぶん前のことだ。
ポール・オースターが翻訳したものを集めたTranslationという本に、フィリップ・プティの「綱の上で On The High Wire,」が入っている。素晴らしく美しい文章なので、私はこれがぜひ日本語にならないだろうかと長らく思っていたのだ。
しばらくたってから、プティが新しい本を書いたことを知った。たぶん、9.11がきっかけになったのだろう。
それがこの『マン・オン・ワイヤー』であり、私は英語版をさっそく取り寄せた。ろくに本文を読まず、写真をしげしげと眺めるだけで満足した。そんなこんなですっかり忘れていたのだが、まさか映画化までされているとは。今年の秋に気づいたとき、アメリカでの公開はおろか、日本での公開も終わっていた。遅まきながら上記の翻訳を読んでみたというわけ。プティは来日して日本で綱渡りのデモンストレーションまでしていたというから、なんとも口惜しい話である。
とはいえ結局、「綱の上で」はまだ日本語に訳されていないので、ぜひ誰か訳してほしい。
そして、私は今、映画のDVD到着を待っているところである。
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